
『おえかき草紙』へようこそ!
管理人の もげら です。
油絵をはじめたての頃、画材を買いそろえる時に管理人が最も悩んだのは ワニス についてでした。
描画用、加筆用、画面修正用、画面保護用、樹脂溶液・・・etc.
さまざまな用語が並ぶなかで、言葉の意味はわかっても一体どのように使えば良いのか、買わねばならない物なのかが全くわかりませんでした。
この記事では、管理人と同じように ワニス に悩むあなたへ向けて、実際 ワニス はマストで必要な物かどうかを含めてまとめていきます。

ちょうど使いかたとか
知りたかったと思ってたんや!
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ワニスの語源
日本では ワニス や ニス と呼ばれていますが、元々の語源はこちらです。
オランダ語
Vernis
英 語
Varnish

翻訳機に読んでもらうと
確かに「ワニス」と聞こえますね。

特にオランダ語が
「ワニス」やな・・・!
ワニス という呼びかたがそのまま広まって、現在に至ります。
ワニスの種類
商品はメーカーごとにさまざまな種類が販売されていますが、使いかたは3つに分類できます。
ひとつずつ詳しくみていきます。
1. 描画用
絵具のツヤを更に強くしたい場合に使います。
描画用のワニスは、絵具に混ぜながら使用します。
2. 加筆用/加筆修正用/画面修正用
絵具のツヤを更に強くしたい場合に使います。
メーカーごとに「○○用」の表記が異なりますが、意味は同じです。

よく見るのは見出しにある3つ。
他にもちがう呼びかたあるのかな・・・
使用方法は、絵具が指触乾燥した画面に、何も混ぜずにそのまま塗ります。
油絵は乾くとツヤが均一ではなくなってしまうことがあります。

ツヤが均一でないと
色の見えかたが
アンバランスになってしまいます。

色むら ならぬ ツヤむら やな!
色の見えかたを整えるために、画面全体のツヤを均一にするワニスです。
3. 画面保護用
完成した絵の表面を保護するために使います。
絵具が乾燥した後に塗るのですが、油絵の乾燥は2段階あります。
- 指触乾燥
・・・絵具の表面が乾燥した状態。
はやくて1日、長くて1ヶ月程。 - 完全乾燥
・・・絵具が内部から乾燥した状態。
半年から1年後。
できれば完全乾燥後に画面保護をしたいところですが、展示の期日が近い場合などには、指触乾燥でも使用可能なタイプを使います。
- タブロー(完全乾燥後)
- ラピッドタブロー(指触乾燥後)
- タブロースペシャル(指触乾燥後)
液体タイプとスプレータイプがあります。
また、ツヤツヤ仕上げタイプとマット仕上げタイプがあるので、じぶんの絵にあいそうなタイプを選択します。
パンドルについて
語源と和訳
フランス語
Peindre
塗る、描く
使用方法とその効果
単独ではなく、油絵具や溶き油に混ぜて使用します。
使用することによっての効果は次の通りです。
- 絵具の粘り具合の調整
重たい絵具を描きやすい粘度に調整できます。 - 画面のツヤ(光沢)の調整
画面のツヤを強化できます。 - 画面の透明性が増す
奥深い色彩の重なりを表現できます。 - 画面を保護力強化
耐候性・耐湿性を高めてくれます。 - 画面の乾燥をはやめる
速乾性をいかせるプリマ技法によるスケッチなどに向いています。
※プリマ技法:一回で仕上げるように描いていく技法
使用上の注意点

パンドルを使う際の
注意点は次の2つです。
絵具としっかり混ぜあわせること

パンドルには絵具の乾燥をはやくするという特徴があります。
そのことから、絵具とパンドルの混ざりが中途半端だと、乾燥のスピードにバラつきが出てしまい、亀裂やしわが寄ってしまうことがあります。
混ぜる時はナイフを使用すること

絵具としっかり混ぜあわせること に通じることですが、絵具とパンドルを混ぜる時は、ナイフを使うことをおすすめします。
筆で混ぜる場合、どうしても筆の根元にパンドルがたまってしまったりするので、絵具と均等に混ぜあわせることは難しいです。
絵具とパンドルをナイフでよく混ぜあわせるという準備をしてから描き始めましょう。

筆にパンドルをひたしながら
描くことは基本的にNGです。

亀裂に繋がるんやもんな。
成分
パンドルはメーカーごとに若干成分が異なります。
いくつかのメーカーをみていきます。
メーカー名 | 樹脂 | 揮発性油 | 乾性油 | 単独での使用 |
---|---|---|---|---|
ホルベイン | ダンマル樹脂 | ターペンタイン | ポピーオイル | 可 |
クサカベ | ダンマル樹脂 | ぺトロール | サフラワーオイル | 不可 |
マツダ | ダンマル樹脂 | ぺトロール | 不可 |
オドレス(無臭)タイプのパンドルを販売しているメーカーもあります。
使用している乾性油や揮発性油によって特徴は異なります。
乾性油や揮発性油の特徴をおさえた上で、どのメーカーのパンドルを使うか考えてみるのも一興です。
ルツーセについて
語源と和訳
フランス語
Retoucher
レタッチ、加筆、修正
使用方法と使用が必要な時
絵具が指触乾燥した画面に、ルツーセ単独で刷毛などのやわらかい筆を使って塗ります。
どうしても筆跡が気になる場合は、霧吹きを使用したり、スプレータイプの製品を使用するのがおすすめです。
絵にルツーセを塗布することが必要な時は次の通りです。
- 画面にツヤむらができた時
部分的にツヤを失った画面を整えたい時に使用します。 - 絵具がはじかれてうまく塗れない時
絵具が画面上で小さな水滴のようにコロコロしてしまう時に使用します。
ルツーセを塗布することで、画面全体のツヤが均等になり、更に絵具の固着がよくなり、頑丈な画面を作れます。
使用上の注意点

ルツーセを使う際の
注意点は次の2つです。
使用する日の天候に注意
雨の日などの湿度の高い日にルツーセを使用すると、画面が白くなってしまうことがあります。
ルツーセを使用する時は、晴れの日で湿度が低めの日を選びましょう。

管理人は湿度が高い・低いが
よくわからない人間なので
ルツーセを塗る前に
古いボツ絵に試し塗りをして様子をみています。

ボツ絵も役に立つなぁ!
絵具がしっかり乾燥してから使用すること
絵具がいまいち乾いていない状態でルツーセをかけると、絵具がにじんだり溶けてしまいます。
しっかり指触乾燥しているか確認してから使用しましょう。
成分
ルツーセには画溶液タイプとスプレータイプの2種類があります。
画溶液とスプレーでは、若干成分が異なります。
いくつかのメーカーをみていきます。
メーカー名 | 画溶液タイプ | スプレータイプ |
---|---|---|
ホルベイン | ダンマル樹脂 石油系溶剤 | 合成樹脂 石油系溶剤 |
マツダ | スチレン系合成樹脂 テレピン ペトロール | 合成樹脂 テレピン ペトロール |

スプレータイプは
画面に吹きつけるだけなので
とても手軽です。

ツヤ感が強いのは
画溶液タイプか・・・
タブローについて
語源と和訳
ラテン語
Tabula
板

現在における タブロー の意味は
完成した絵画 といったところです。
使用方法とその効果
乾燥した絵画に霧吹きや刷毛などのやわらかい毛の筆を使って塗ります。
うすい層を何度か重ねるように塗っていきます。

片付けめんどくさい場合は
スプレータイプもあるんやな。
- 絵を油絵の天敵から守ってくれる
湿度・紫外線・埃から絵を守り、劣化を防ぎます。 - 画面にツヤ(光沢)がでる
画面のツヤを強化できます。
マットな画面にしたい場合はマットタイプのタブローを選びましょう。 - 画面に統一感がでる
筆跡によってできた絵具の凸凹をフラットにしてくれます。
使用上の注意点

タブローを使う際の
注意点は次の通りです。
絵の乾燥状態に要注意
タブローは油絵が乾燥後に塗りますが、油絵の乾燥は2段階(完全乾燥と指触乾燥)あります。
段階によって使用できるタブローは違いますので、要注意です。
完全乾燥まで間に合わない場合に使用できるタイプもあります。
指触乾燥していれば使える画面保護ワニスに、タブロースペシャル・ラピッドタブローという名称の商品があります。
ただ、タブロースペシャル・ラピッドタブローは通常のタブローと比べて保護効果が弱いです。
半年から1年半後にテレピンやぺトロールといった揮発性油で溶かし拭きとって、通常のタブローに塗りかえることがおすすめです。
指触乾燥後・・・タブロースペシャル、ラピッドタブロー
完全乾燥後・・・タブロー

画面保護用ワニスについて
まとめた動画はコチラです。

動画にタブロースペシャル塗ってる
シーンもあったな!
まとめ
今回は油絵の ワニス について詳しく学んでみました。
描画用・加筆用のワニスは正直使わなくても油絵は描けてしまいますが、使ってみると絵の雰囲気がだいぶ変わるので、油絵になれた頃に導入してみるとよいかもしれません。
また、画面保護用ワニスも絵の劣化が気にならなければ使わなくても大丈夫です。
でもやっぱりせっかく完成した絵ですから、大事に保管するために使用することをおすすめします。

最後までお読みいただき
ありがとうございました!