
『おえかき草紙』へようこそ!
管理人の もげら です。
白 の絵具は油絵を描くうえで重要な役割を担っています。
色の明るさ(明度)の調整だけでなく、絵の空気感や質感を表現するのに欠かせない存在です。
いざ、白い絵具を求めて画材屋さんへ行ってみると
チタニウムホワイト、パーマネントホワイト、シルバーホワイト・・・etc.
たくさんの白い絵具がお店に並んでいます。

白って
ひとつじゃないの?💦
白 にはさまざまな種類があり、絵具によってベストな使いかたも異なります。
そこで今回は、油絵における「白」の重要性 と 使いかた についてまとめていきます。

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油絵における「白」とは?

白 は明度の調節以外にも
さまざまな使いかたがあります。
下地に塗って色の発色をよくする
油絵の魅力のひとつにとして、描いてて「なんかちがった・・・」と思ったときに、絵具が乾いていれば上から絵具を重ねて描き直せる点があげられます。
一回 白 でリセットしてから描くと、まわりの色に惑わされずにすみます。
描き直そうとしたときにもしも混乱してしまったら、いったん 白 でリセットしてしまいましょう◎

色がごちゃごちゃしてると
どうなおしていいか
わからないものね。
また、下地に真っ白な絵具を仕込んでおくと、その上に絵具を重ねたときの発色が断然よくなります。
下地に仕込むのは、隠蔽力が高いチタニウムホワイトがおすすめ。
物体のハイライトとして使うことで立体感を表現する
陶器やガラスなど、ツヤッとしてるモノや硬いモノの光が当たっている部分にハイライトとして白を使うと、光沢感や立体感の表現ができます。
硬いモノのハイライトにはチタニウムホワイトがおすすめ。
もこもこしたぬいぐるみや、表面がマットなモノにチタニウムホワイトを使いすぎると、質感が表現できずリアルな表現からは遠くなってしまうので、「ハイライトなら何でもチタニウム!」とは思わないほうが良さそうです。

ツヤツヤしたモノとかたいモノには
チタニウムってことね。
透明性の高い白をうすく重ねて空気感を表現する
例えば風景画を描くとき。
透明感のあるうすい層を重ねることで霞みの表現ができます。
透明感のある白はジンクホワイトがおすすめ。
これは遠くの景色ほど霞んでみえるという大気遠近法の表現です。
白の種類と特徴について

白い絵具を
まずは簡単にまとめてみます。
絵具名 | 顔料 | 隠蔽力 | 乾燥速度 |
---|---|---|---|
チタニウムホワイト | PW6 | 最強 | やや遅い |
シルバーホワイト | PW1 | 半透明 | はやい |
ジンクホワイト | PW4 | 半透明 | やや遅い |
セラミックホワイト | PW37 | 半透明 | 遅い |
パーマネントホワイト | PW6 | 半透明 | やや遅い |
上の表はざっくりな目安として捉えてください。
白 の絵具の特徴について、ひとつずつじっくりみていきましょう。
1. チタニウムホワイト
油絵具の中でも、もっとも高い隠蔽力を誇るのがチタニウムホワイトです。
他の色と混ぜたとき、場合によっては相手の色の魅力を押しのけてしまうほどの強さがあります。

いうなれば白の世界の『キング』。
使いかたによっては頼れる存在ですが、
混色ではちょっと気をつけたいところ。

たしかに王様やな!
存在感ありすぎて
他の色が押され気味や〜。
とはいえ、その力強さは武器にもなります。
ガラスや陶器、生き物の瞳のような「ピカッ!」と光るハイライトを描くときに使えば、その効果は抜群です。
絵の中に強いハイライトを入れたい場合は、チタニウムホワイトをおすすめします◎
2. シルバーホワイト
シルバーホワイト(※鉛白/フレークホワイト)は、古くから多くの画家に愛されてきた伝統的な白色絵具です。
隠蔽力は中程度。
チタニウムほど強くはありませんが、ほどよく隠しながらも自然な明るさと温かみを与えてくれます。

塗膜がしっかりしていると
乾燥後も丈夫な画面になります。
ただし、シルバーホワイトには鉛(なまり)成分が含まれており、取り扱いには注意が必要です。
鉛毒性のため、海外では販売を制限していると聞いたことがあります。
使う際は換気や手洗いをしっかり行い、身体に触れないように要注意です。

ちょっとこわい。。
3. ジンクホワイト
ジンクホワイトは、チタニウムホワイトと比べて隠蔽力は控えめです。
他の色をじゃましにくく、混色したときに他の色をやさしく引き立ててくれます◎

色の明度を自然にあげたいときに
とても適した白色絵具です。

ジンクは空気読読める系の
白ってとこやな!
ジンクホワイトの特徴は、その透明感とやわらかさです。
グレージング(薄塗り)や、肌の微妙なニュアンスづくりなど、繊細な表現にぴったりです◎
乾燥がはやいので、テンポよく重ね塗りの作業が可能です。
ただし、もろさがあり、割れやすい層をつくってしまうため、単体での使用や厚塗りは避けたほうが無難です。
下地や下層で使用するのもやめましょう。

下層でジンクホワイトを使うと
“あとからポロリ”現象を
引き起こす可能性あり です。
4. セラミックホワイト
近年登場した新しい白色絵具、管理人もお気に入りのセラミックホワイト。
酸化アルミニウムなどのセラミック系顔料を使用しています。
酸化亜鉛(ジンク)や酸化チタン(チタニウム)を含みません。

隠蔽力・発色・混色のバランスがよく
クセが少ないのが特長です。
管理人推し、扱いやすい白です。

クセがないって、それもう万能タイプやん!
セラミックホワイトは、混色しても色のバランスを崩しにくくにごりも少ないため、人物画・風景画・抽象画など、どんなジャンルにも対応可能です。
黄変しにくく、経年変化も穏やか。
保存性の点でも安心感のある白です◎
5. パーマネントホワイト
パーマネントホワイトは、メーカーによって内容がやや異なるものの、主にチタニウムホワイトをベースに、扱いやすく調整された白です。
名前の「パーマネント(永続的)」の通り、変色しにくく、退色に強いのが特長です。
日光や空気による劣化が少なく、保存性に優れた白として広く使われています◎

鮮やかさや耐久性を重視したいときに
おすすめです。

チタニウムのパワーを持ちつつ
クセをちょっと抑えてる感じやな。
メーカーによってはパーマネントホワイトに少しだけジンクホワイトを加えて、隠蔽力を若干抑えていることもあります。
つまり、チタニウムほど主張しすぎず、でもジンクほど控えめでもない——
ちょうどよい白として重宝される白色絵具です。

くどくなりますが
ジンクが入ってる場合は
下層描きには使用しないよう注意です。

“あとからポロリ”現象を
予防するためやな。
使用上の注意点
白の絵の具は、油絵制作に欠かせない基本色です。
しかし、その性質を理解せずに使うと作品の耐久性や色調に悪影響を及ぼすリスクがあります。
そこでここからは、特に注意すべきポイントを詳しくまとめていきます。
1. ジンクホワイトの脆さに注意
ジンクホワイト(PW4)は、その透明感となめらかさから混色用として人気がありますが、塗膜が脆く、ひび割れを起こしやすいという大きな欠点があります。
ジンクホワイトには、分子レベルでの構造が油と結びつくときとても弱くなるため、乾燥後に割れたり、他の層にも悪影響を及ぼしてしまうという弱点があるのです。

でもやっぱり使いたいの
ジンクホワイト・・・
ジンクホワイトの弱点をカバーする対策は次の通りです。
- 厚塗りを避け、他の白(チタニウムやミキシング)と併用する。
- ジンクホワイトを単体で下層やグラウンドに使わない。
- 購入時に「純粋なジンクホワイト」ではなく、「ミキシングホワイト」や「ソフトホワイト」と記載された混合タイプを選ぶのが安全。
2. 黄変してしまう可能性
白色絵具は、時間の流れによって黄変(黄色く変色する現象)が起きやすい色のひとつです。
チタニウムホワイトをリンシードオイルで練って絵具は、暗い場所に長い期間放ったままにしておいたり、空気との接触が少ない環境で黄変が進みやすくなります。

リンシードオイルって
黄色くなりやすいんやったな!
白い絵具の黄変を避ける対策は次の通りです。
- スタンドオイルやサフラワーオイルで練った絵具を選ぶ。
- 乾燥後、おひさまに定期的に当てると黄変が軽減されるという研究結果あり。
- 黄変しやすい白を下層に使う場合、上層に透明色や暖色を重ねることで目立たなくする方法もあり。
3. 白の量と混色バランス
チタニウムホワイトは非常に強い発色と隠蔽力を持っているため、少しの量でも混色のバランスを壊しやすい性質があります。
白が多すぎると粉っぽくくすんだ印象になりがちです。
管理人も絵が白く粉っぽい印象になる現象にはずいぶんあたまを悩まされました・・・

油絵をはじめたての頃
「白っちゃけてる!」とよくいわれました。

キング大暴れ。
- パレットナイフで予め混ぜて、様子を見ながら徐々に白を加える。
- 混色にチタニウムホワイトの使用は控える。

管理人はセラミックホワイトを
主に使っています。
4. 重ね塗りと油分バランス(脂性の原則)
白い絵具は乾燥が遅めです。
また、ジンクホワイトなどでうすく仕上げた層の上に油分の多い色を重ねると、絵具がはがれてしまうこともあります。

どうすればいいの~💦
- 「脂性の原則(fat over lean)」を守る:下層を速乾・油分少なめ、上層を遅乾・油分多めにする。
まとめ
今回は、油絵における「白」についてまとめてみました。
その特性を理解することは、色彩表現を極めるための第一歩です。
作品にどのような印象を与えたいか、どの部分を強調したいかを考えながら、白を使いこなしていくことで、より豊かな表現が可能になります。
実践編の記事もお楽しみに!

最後までお読みいただき
ありがとうございました!