
『えかきのおえかき草紙』へようこそ!
管理人の もげら です。
油絵を習いはじめの頃、「下地作りとして必ず、キャンバスにジェッソを塗りましょう。」と教わりました。

ジェッソって、そもそもなに?
今回の記事では、ジェッソについて考えてみようと思います。
▼
▼
▼
ジェッソについて
語源

テンペラ画の下地 gesso が語源です。
gesso
・・・イタリア語で 石膏 を意味する
テンペラ画
・・・石膏下地の上に卵の黄身を使って描く技法

ジェッソは石膏ってこと?

現在では、ジェッソ=石膏ではないんです。
ということで、成分をみてみましょう。
成分
主な成分は次の3つです。
- チタニウムホワイト
- アクリル樹脂エマルジョン
- 炭酸カルシウム
チタニウムホワイトは白色の顔料です。

顔料とは、絵具などの色を作るために必要な 色のもと です。

赤色なら赤色の顔料、黄色なら黄色の顔料を使うってことやな。
アクリル樹脂エマルジョンは、アクリル絵具など、アクリル系画材を作るための必需品です。
ちなみにアクリル樹脂エマルジョンの代わりに顔料を乾性油で練れば、油絵具になります。
炭酸カルシウムは、自然界に存在する無機鉱物です。
サンゴや貝殻、古代生物の遺骸などからできる石灰石を加工して採取します。

石灰石は、炭酸カルシウムが主成分の天然鉱物やね。
ジェッソと石膏 成分のちがい
ちなみに、石膏の主成分は硫酸カルシウムです。
硫酸カルシウムと炭酸カルシウム、学校の黒板でおなじみのチョークを例にどのようなちがいがあるか、みていきます。

チョークには、炭酸カルシウム(石灰石)タイプと硫酸カルシウム(石膏)タイプがあります。
炭酸カルシウム
- 主に学校で使用されているタイプ
- かためなので折れにくい
- 粉が飛び散りにくい
硫酸カルシウム
- よく百均で販売されているタイプ
- やわらかいので粉が飛びやすい
- 粒子が荒め

その昔、百均で買ったチョークは硫酸カルシウムタイプで、30本以上入って100円でした。

学校で使ってたチョークと感じがちがうから、ビックリしてたな。
用途
基本的に地塗りで使用します。

地塗り は絵を描く前の下地作りだったな。
ジェッソを使うと次の効果があります。

地塗りとして以外にも、絵具として使用したりすることもあります。

油絵具は乾くとツヤツヤした感じだけど、ジェッソはどうなんかな?

ジェッソは乾くとマットな質感になります。
ジェッソの種類
販売されている商品のバリエーションについてみていきます。
粒子の大きさ
メーカーによって粒子の大きさの表現方法は異なりますが、粒子が細かいタイプから粗いタイプまで、何種類かの粒子サイズを展開するメーカーもあります。
粒子が細かいと、さらっとしたコンクリートのようなスベスベな画面を作れます。
粒子が細かいので、これを目が細かい紙やすりで削ると、更にスベスベな陶器のような画面にもなります。
スベスベな支持体は、細密描写にぴったりです。
粒子が粗いと、少し肌をすっただけで傷ができるザラザラした壁のような画面が作れます。

あの壁に肌をこすると本当に痛いんだよな・・・
ザラザラな画面にオイルで溶いた絵具を垂らすと、色が不均衡に流れるため、絶妙なバランスの色彩が簡単に表現できます。
油絵は何回も塗り重ねていくことができるので、たくさんの表現方法を試していくことが可能です。

地塗りによって、同じ描きかたをしても、完成したらまったく違う印象の絵になることも。

いろんな地塗り、試してみようかな。
じぶんが描いてみたいイメージをみつけるために、スベスベとザラザラの両方のテイストを試してみると、新しい発見に繋がるかもしれません。
色
定番の白色の他にも、さまざまなカラーが展開されています。
透明/クリア ジェッソ
乾くと半透明のような色合いになります。
鉛筆などで描いた下描きの上から塗っても、下の層が消えてしまうことはありません。
白色のジェッソとは違い、若干のプラスチック感がある質感になります。
カラージェッソ

油絵を描くとき、最初からみたままの色(固有色)で描くよりも、下地に色をつけることで重ねた色の下から下地の色が少し透けてみえるので、絶妙な風合いがうまれます。
白いジェッソを塗った後に、別の絵具で色をつけるという方法もありですが、色がついたジェッソを使用すれば、作業を省略できます。
白いジェッソにアクリル絵具を混ぜて地塗りとする方法もありますが、その場合、色は少しくすみます。
混色して色を作るよりも、チューブに入った絵具をそのまま使用するほうが、色の鮮やかさが保たれます。
彩度が高く濃い色の下地を作りたいときは、カラージェッソも選択肢に入れてみてください。

ゴールドのカラージェッソを使って、金箔風背景を作ってみたことがあります。
ジェッソの上から油絵を描くときの注意点
ジェッソを油絵の下地で使う場合、絶対に忘れてはならない注意点があります。

後でボロッと絵がはがれてしまったり(剥離)、ひび割れすることを防止するために、よろしくお願いします!

厚塗りもダメだけど、水で薄めすぎるのもダメなんだって!
まとめ
以上、ジェッソについてまとめてみました。
ジェッソは絶対に塗る必要があるわけではありませんが、手軽に地塗り作業ができる便利な画材です。
実践編としてジェッソの塗りかたの記事もその内アップできたらと思います。

最後までお読みいただき
ありがとうございました!