
『おえかき草紙』へようこそ!
管理人の もげら です。
乾性油は油絵を描くのにかかせない画材のひとつ。
リンシードオイル、ポピーオイルが代表的な乾性油です。
今回は、乾性油についてまとめてみます。

うさぎもしりたい!
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乾性油とは
乾性油は、ひとことで言うと、しばらく放置すると固まる(固形化する)油です。
空気中の酸素と合体することで固形化します。

技法書などでは
油絵具は酸化重合反応することで固まる
・・・と書かれていますね。

揮発性油とちがって
蒸発するわけではないんだね!
そのため、乾燥後に体積が減るということもないので、絵具の乾く前後で色やボリュームが全然違うものになってしまうという心配はまずありません。
油絵における酸化重合反応は、非常にゆっくり進む化学反応です。
そのため、メーカーさんは油絵具が完全乾燥するまでには半年から1年かかると案内していますが、厳密には50年・・・いや、それ以上の100年くらいかかると言われています。

本当の意味での完全乾燥を待っていては、生きている内に仕上げのニスがけすることは無理そうです。
ニスをかけても絵具が再び溶けてしまわない程度の乾燥状態を一般的な完全乾燥としていると思われます。
乾性油の使いかた
乾性油は、そのまま使うことも出来ますが、とろみ(粘度)調整でテレピンやペトロールといった揮発性油と混ぜて使用することが多いです。
役割
乾性油は、絵具を支持体にしっかりとくっつける接着剤のような存在です。
油絵具の展色剤としても使用されています。
効果
乾性油にもたくさんの種類があります。
絵具の固着力を高めるほか、透明度や画面をてかてかにみせる艶感を調整することもできます。
色合いだけでなく画面上の質感にもこだわることができるのが油絵の魅力です。

管理人はツヤツヤトゥルトゥルした画面がすきです。

かんりにんさんのせんせいはマットな絵肌がすきみたい!
油絵になれてきたら、いろいろな乾性油を試してみると非常に奥深いです。
使用上の注意点

油絵を安全に楽しむために
大事な注意点です!
自然発火してしまう可能性
油絵を描いてみようと思った時に、一番心配なのは 自然発火 の可能性だと思います。
乾性油が自然発火する条件は次のようなことが挙げられます。
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自然発火してしまう条件がわかったので、対策を練りましょう。
ひとつずつみていきます。
オイルの酸化による熱の発生
乾性油が酸化重合していくと、わずかに熱が発生します。
その熱がすぐ冷めるような環境であれば問題ありません。
例えば、制作途中の油絵をイーゼルにたてかけたまま乾燥させていた場合に発火したなんて話は、管理人は聞いたことがありません。
油絵具を塗った面に何も触れない状態で、高温ではない火気厳禁の場所に置いておけば、キャンバスから発火することはないと言えます。
熱がこもると高温になり発火
熱がこもるケースの例をいくつか挙げてみます。

油絵ででたゴミを放置しては絶対にいけません。

すぐにおかたづけすればいいのね。
具体的な自然発火防止の片づけ方法をご紹介します。
管理人はこれまで次の方法でお片づけをしてきましたが、今のところ自然発火を起こしたことはありません。
自然発火を防ぐ片づけ方法

- 油絵具や乾性油がしみ込んだ布やティッシュを、ビニール袋にまとめる
- 袋の中に十分な水を注ぎ入れる
- 袋の中の空気を抜いて、袋の口をキュッとむすぶ
以上です。
油がついた紙や布などがびしゃびしゃになるくらい水を入れます。

更に上の安全を目指す場合、金属製の蓋付き容器の中に水をはり、3.の袋を容器の中へ「どぼん!」とさせましょう。
その後、容器の蓋をしっかり密閉します。
先輩作家さんの中には、金属製の蓋付きゴミ箱に捨てていき、パンパンになったらゴミ袋に移しかえてゴミに出すというかたもいますが、今のところ発火したことはないとのことです。
発火してしまうことのほうが稀なのかもしれませんが、火は本当に怖いので、できる対策はすべて行うことをおすすめします。

むずかしいことではないしね!
乾性油の種類
聞きなれない言葉も多い油絵の画材たち。
ここからはその種類を具体的にみていきます。
リンシードオイル
リンシードオイル=亜麻仁油
亜麻仁油は、亜麻の種子(亜麻仁)を原料とする植物性乾性油です。
次に紹介するポピーオイルと比べて、乾燥が早く丈夫な画面を作れるという長所があります。
しかし、暗い場所に置いておくと黄変してしまうという弱点があります。
黄変は太陽にあてれば解消することができますが、気になる場合、白色や淡い色の絵具とあわせて使用することはやめておきましょう。

管理人はこれまでリンシードオイルによる黄変について気になったことはないです。

まっしろなうさぎの自画像がきいろくなっちゃうのはいやよ~。

気になるかたは、次に紹介するポピーオイルやサフラワーオイルを使いましょう。
ポピーオイル
ポピーオイル=芥子油
芥子油は、芥子の種子を原料とする植物性乾性油です。
先に紹介したリンシードオイルと比べて、乾燥が遅いという弱点があります。
しかし、黄変が起きにくいという長所があり、白色や淡い色の絵具と安心して使用できます。

2025年現在の話ですが、ポピーオイルは原材料高騰によりメーカーによっては廃盤、販売してても他の乾性油と比べて倍程高かったり します。

え!こまる。
サフラワーオイル
サフラワーオイル=紅花油
紅花油は、ベニバナの種子を原料とする植物性乾性油です。
特徴は、ポピーオイルと似ています。

最近ではポピーオイルに似た特徴のサフラワーオイルに注目が集まってます。
ポピーオイル派だった作家さんで、サフラワーオイルに乗り換えたって話を聞きました。

サフラワーオイルならかえる!
まっしろうさぎの自画像かけそうでひとあんしんね。
ウォールナットオイル
ウォールナットオイル=胡桃油
胡桃油は、胡桃の実を原料とする植物性乾性油です。
特徴はポピーオイルと似ていますが、ポピーオイルより乾燥速度が少し早いです。

日本のメーカーさんではみかけたことがないウォールナットオイルですが、海外メーカーの製品を日本でも購入できます。
乾性油の加工
それぞれの乾性油には、乾燥速度が遅かったり、黄変しやすかったりの弱点がありました。
それらの弱点は、乾性油を加工することである程度解消することができます。

オイル名の前に次のワードが入ってる商品は、加工したオイルとなります。
スタンド
メーカーによって加工方法は若干異なりますが、300度くらいの温度の中で加熱重合させたオイルとなります。
かなりねっとりとしたテクスチャーで、乾燥後の塗膜も強くなり光沢感もアップします。
色は黄色みが強くなりますが、乾燥後に黄変する心配はほぼないオイルです。

ハチミツのような形状です。

たべちゃだめよ。
ボイルド
乾性油の種類によって若干加工方法が違いますが、低温でボイルされたオイルとなります。
加工することで乾燥が早くなり、ねっとりとしたテクスチャーで乾燥後の塗膜は強くなり、光沢感もアップします。
弱点は、黄変してしまうかもしれない点です。
サンブリーチド/サンシックンド
日光に長時間さらすという加工を施したオイルとなります。

サンブリーチドとサンシックンド・・・

加工方法が若干異なるとのことですが、世界共通の定義ではなく、誰が決めた定義なのか不明なので、とりあえずどちらも太陽に晒したオイルであるとしておきます。
黄色くなったオイルを透明にするための加工方法です。
まとめ
この記事で登場した単語一覧
「油絵を描いてみよう!」と思った時に、乾性油は色々な種類があって混乱しやすい画材のひとつだと思います。
最もメジャーな乾性油は、黄変しやすいと言われるリンシードオイル。
黄変しやすいとはいっても、絵を光が一切届かない暗闇の中に閉じ込めておかない限り、そこまで気にならないような気もします。

黄変をそこまでこわがる
ひつようはなさそうね!
じぶんにとってベストな乾性油を見つけていくことも油絵を楽しむ要素のひとつなので、いろいろ試してみるのもいいかもしれません。
また、初めて油絵にトライするかた向けに、油絵画材道具のそろえかたについてまとめた記事があります。
ぜひチェックしてみてください◎

最後までお読みいただき
ありがとうございました!