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【まなぶ編】油絵の「黒色絵具」完全ガイド|4種の特徴と使いわけを徹底解説!

アイキャッチ|油絵具(黒)の記事 絵描きが綴る道具細見帖
絵描きが綴る道具細見帖油絵画材の知識
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管理人
管理人

おえかき草紙そうし』へようこそ!

管理人の もげら です。

油絵具の黒はひとつではなく、
何種類かの黒色が展開されています。

モンキー
モンキー

むむむ・・・
ちがいがわからん!

どの種類の絵具も
いっけん「ただの黒色」に見えますが、
使う黒の種類によって
絵のイメージが全く異なってきます。

この記事では、
黒の油絵具の代表的な種類それぞれの特徴について解説していきます。

うさぎ
うさぎ

うさぎもしりたい!

黒色の油絵具とは?

管理人
管理人

まずは黒色絵具の基本
押さえていきましょう。

黒色絵具の基本的な役割

黒は、絵の中で最も暗い色として使われる色です。

陰影を強調したり、
明るい色とのコントラストをつけたり、
全体の色調を引き締めたり・・・
とても重要な役割を果たしてくれます。

特に、グリザイユ(モノクロで描く技法)を用いる人にとって黒色は欠かせない色です。

黒は絵に欠かせない色である反面、扱いがむずかしい面もあります。

黒はとても強い色です。
使いかたによっては、
混色によって他の色の彩度が落ちすぎてしまったり、
絵の雰囲気が沈んでしま
といったことが起こります。

だからこそ、
黒の扱いかたをはじめに知っておくことが重要です。

管理人
管理人

黒をどのように使うか
イメージできると良いですね。

うさぎ
うさぎ

どの黒いえのぐをえらぶか
ということもだいじね。

黒は混色では作れない?

「黒なんて、暗い色を混ぜれば簡単に作れるんじゃない?」・・・と思いませんか?

モンキー
モンキー

思う思う、
めっちゃ思うで!

管理人
管理人

その考えは
半分正解で半分不正解・・・
といったところです。

絵具のチューブに入った黒色と全く同じ黒を混色で作ることは、実はかなり難しいんです。

例えば・・・
補色の関係にある色同士を混色するとします。

モンキー
モンキー

赤と緑』とかやな。

黒は 彩度がなく明度が低いです。
補色の関係にある色同士を混色すると彩度が落ちることを応用して、黒を作るための混色について考えてみます。

赤の暗めの色
(アリザリンクリムソン、クリムソンレーキなど)
緑の暗めの色を混色すれば、
(フタログリーン、ビリジャンなど)
なんとなく黒っぽい色を作ることができます。

ですが、
絵具チューブに入っている
完全に無彩色な黒色と比べてみると、
若干あたたかみがある黒になってしまったり、
赤みがかった・青みがかった黒になってしまうことがほとんど
です。

さらに、混色に使う絵具のチョイスによって、
できあがる黒色の透明感やツヤ感も変わってしまいます。

モンキー
モンキー

油絵の魅力のひとつが
ツヤ感やもんな~。

うさぎ
うさぎ

ツヤに統一感がないと
こまっちゃうものね。

また、毎回同じ黒色を混色で作ることは、
繊細な混色バランスが求められるので、難易度は高めです。

そういう意味で、
混色して作った黒色は「ただの黒」ではなく、
独自の個性を持った色として考えたほうがいい
といえます。

黒を使う画家と黒を使わない画家

画家の中には
「黒は絶対に使わない」と黒を敵対視する黒忌避派もいれば、
「黒は作品に深みを与えてくれるから絶対必要!」という黒愛好家な人もいます。

管理人
管理人

面白いですよね。

黒忌避派の人たちは、印象派に代表されるように、
自然光の色を忠実に再現したい」と考える傾向が強いです。

子どもの頃におえかきしてて、影の部分を色塗りする時には、
黒色や灰色などの無彩色を選ぶ場合が多かった記憶があります。

自然界に存在する『影』は決して真っ黒ではありません
空の色を投影した青みがかった色、

時には物体の反射光によって色づいています。

そうした自然界のリアルを再現するために、
あえて黒そのものは使わず、
補色の混色で「黒っぽさ」を表現するというテクニック
表現するのです。

反して、黒愛好家の画家たちの思いは違います。

黒特有の深さや重厚感を活かして、
構成やドラマ性を高めることを重視します。
そのような表現を追求するには、
黒が持つ強さが与える陰影やコントラスト
非常に重要な要素になってきます。

うさぎ
うさぎ

黒だからこそ
できる表現があるってことね。

以上のことから、黒を使うか使わないか論争は、
「じぶんがどのような表現をしたいのか」によって
選ぶべきアプローチ方法が変わってくる
・・・という結論にいたります。

管理人
管理人

どちらが正しいとかは
ありません。

黒色絵具を使う時のポイント

管理人
管理人

くどくなりますが
もう一度いいます。

黒はとても強い色です。
そのため、使う場所や混ぜかたによっては、
作品の印象をガラリと変えてしまうことがあります。

黒絵具を使う上で知っておきたいポイントをまとめます◎

混色するときの注意点

黒を混色に使うと、
色の彩度(あざやかさ)がガクッと下がることがあります。

特に注意したいのが、
マルスブラックランプブラックといった
黒の中でも強い黒の扱いかたです。

ほんの少し混ぜただけで他の色がにごってしまう・・・
なんてこともあるほどです。

モンキー
モンキー

キング・オブ・ブラーック!

例えば・・・
明るい青を混ぜて影色を作ろうとした時、
「くすんだグレーに変わってしまって
色がにごってしまったな・・・」
ということがあります。

うさぎ
うさぎ

どうすればいいの?

彩度を極端に落とさないポイントは・・・

モンキー
モンキー

いたって
シンプルやな!


黒の量をしっかり調整しながら
パレットナイフなどで色を混ぜましょう。

管理人
管理人

慣れてくると
「これ以上混ぜたらにごるな・・・」
という感覚がつかめてきます。

黒の使いすぎに注意!

うさぎ
うさぎ

黒をいっぱいつかえば
カッコよくなりそう!

管理人
管理人

黒の使いすぎには
要注意です。

黒がもたらしてくれるステキな効果は次の通りです。

いっけんとても便利な色と思いますが、
使いすぎると全体が重たく沈んだ印象になってしまいます。

特に油絵初心者の段階でやってしまいがちなのが、
「影の部分はとりあえず黒を塗っておこうかな」問題です。

モンキー
モンキー

影は黒にしとったわ。
さっき
印象派の話聞いて学んだけどな!

大事なことなので、先程の印象派で触れた話を繰り返します。

自然界の影には、黒以外の微妙な色味が含まれています。

「影=黒」と思い込んで
すべての影を完全な黒で塗りつぶしてしまう
と、
自然界にはあり得ない現象ですから、
まず絵は不自然な雰囲気を演出した感じになります。

もうひとつ。
影を黒でベタ塗りすることは、
絵が平面的にみえる要因のひとつとなります。
例えるなら、
「不自然なのっぺり感」をかもしだす・・・といった感じです。

うさぎ
うさぎ

どうすればいいのかしら?

不自然なのっぺり感をださないためのポイントは・・・

例えば・・・
ウルトラマリン(青)+バーントアンバー(茶)
 ‣‣‣ 深く落ち着いたあたたかみのある黒ができます。

プルシャンブルー(紺)+アリザリンクリムソン(赤)
 ‣‣‣ ひんやりとした青黒っぽい黒ができます。

こうした混色でつくる黒は、
完全な黒ではないけれど、自然な陰影を表現することが可能です。

管理人
管理人

これもまたくどくなりますが
じぶんが目指す表現が
不自然な世界だったり
絵をのっぺりさせたいのであれば
あえてすべての影を
黒でベタ塗りするという選択を
することもあり
ですよ。

モンキー
モンキー

どういう絵を描きたいかは
人それぞれやもんな。

グリザイユ技法と黒の関係

うさぎ
うさぎ

グリザイユってなにかしら?


グリザイユとは、白と黒だけで描くモノトーンの技法のこと。
色を使わずに、明暗のコントラストだけで形や奥行きを描きわけていきます。

モンキー
モンキー

デッサンみたいな
感じやね!

グリザイユで使う黒色絵具は、
アイボリーブラックピーチブラックのような
やわらかい印象の黒がおすすめです。

管理人
管理人

強くて不透明なマルスブラックで
なめらかなグラデーションを
表現することは難易度高め
です。

また、グリザイユで描いた上に透明色を何層も重ねていく
グレージングという技法
もあり、
写実的な表現を目指す人におすすめな技法です。

グリザイユの表現のように、
黒は仕上げの色というより、形や構造を支える大切な色でもあります。

よく使われる黒色絵具の種類と特徴

画材屋さんにて黒い絵具を探してみると、
何種類かの黒が店頭に並んでいると思います。

それぞれ成分や性質が異なるため、
発色・透明度・混色時のクセも変わります。

ここからは油絵具でよく使われる
代表的な黒色絵具を4種類、ご紹介します。
使いかたや目的にあわせて、
自分に合う「黒」をみつけてみましょう◎

管理人
管理人

黒い絵具を
まずは簡単にまとめてみます。

絵具名顔料隠蔽いんぺい乾燥速度
アイボリーブラックPBk9強いやや遅い
マルスブラックPBk11最強はやい
ランプブラックPBk7強い遅い
ピーチブラックPBk8中程度〜強いやや遅い〜遅い

上の表はざっくりな目安として捉えてください。
 の絵具の特徴について、
ひとつずつじっくりみていきましょう。

1. アイボリーブラック(Ivory Black)

画像|象の親子

しっとりと深い黒を
見せてくれるのがアイボリーブラック

なめらかで落ち着いた発色が特徴で、
黒の中でもあたたかみを感じさせる黒です。

最もスタンダードな黒の絵具で、
絵具セットに入ってる黒い絵具のほとんどが
アイボリーブラックです。
元々は象牙を焼いて作られていましたが、
現在は主に動物の骨を炭化させたもの
使われています。

「深みのあるグレーを作りたい」
「強すぎない黒がほしい」

・・・というような時に
おすすめなのがアイボリーブラックです◎

2. ランプブラック(Lamp Black)

画像|カーボン

ふわっとやわらかな黒が
特徴なのがランプブラック

煤の粒子が細かいので光の吸収力は高く、
深く沈んだような印象の黒
になります。

原料は、
植物性油や樹脂を燃やしてできるカーボン
とても古くから使われてきた
伝統的な黒
でもあります。

乾燥はやや遅めですが、
ゆっくりじっくりと
グラデーションをつけたり
ぼかしたりという作業がしやすい
です。

「自然な陰影を描きたい」
「墨絵のような雰囲気を出したい」

・・・というような時に
おすすめなのがランプブラックです◎

3. マルスブラック(Mars Black)

画像|錆びた鉄

力強くてはっきりとした黒を
見せてくれるのがマルスブラック

重たくマットな発色が特徴で、
クールで理知的な印象を与える黒です。

人工的に作られた酸化鉄を原料としていて、
とても安定した性質を持っている
ため、
安心して使える絵具です。

もうひとつの魅力は、乾燥がはやいところ。
作業がスムーズ
にすすめられます。

「ムラなく広い面を塗りたい」
「ピシッとした黒で引き締めたい」

・・・というような時に
おすすめなのがマルスブラックです◎

4. ピーチブラック(Peach Black)

画像|桃

やや青みを帯びた静かな黒といった
印象を持つピーチブラック

木炭のようなドライな質感と、
スモーキーで淡い黒味が特徴です。

原料は、桃の種や果樹の枝などの植物系の炭

うさぎ
うさぎ

桃だけじゃないのね。

混色する時に相手の彩度をあまり奪わないので、
黒に近いグレーや
透明感のある影色として使うと大活躍
します。

「空気感を大切にしたい」
「重たくない黒がほしい」

・・・というような時に
おすすめなのがピーチブラックです◎

実際に使ってみた感想と比較

ここからは、
管理人が実際に使ってみた黒い絵具たちの印象や
使いかたの提案などを個々にまとめていきます。

管理人の好み(感覚)による部分もありますが、
購入を迷っているかたの参考になれば嬉しいです。

管理人
管理人

所詮他人の意見なので
あくまで参考程度に。

アイボリーブラック

おすすめ度4.0
こんな人にはじめて黒を買う人
何にでも使いたい人

管理人にとって最初の黒はアイボリーブラックです。

管理人
管理人

なんだかんだ
今でも使ってます。

とにかくあまりクセがないので使いやすいです。
他の色と混ぜた時、
色彩がにごりにくいところも良い
ポイント。

乾燥はややゆっくりです。
管理人のようにじっくり描く人にはぴったりですが、
「サクサク重ね塗りしたい!」という人には
少しもどかしく感じるかもしれません。

モンキー
モンキー

だとすると
サクサク派なおいらには
むかないのかも。

また、使用量が多いときや保管環境によっては
カビが出やすい
という点もあるので、
湿度や換気には少々気をつけたいところです。

管理人
管理人

ずぼら管理人は
二科用の大作を
何度かカビさせてます。

ランプブラック

おすすめ度4.0
こんな人に明感のある影を描きたい人
グリザイユに挑戦したい人

「使いにくい」とよく聞くので、
はじめて買う時は少し悩みました。

でも実際に使ってみると、
個人的に青みがかったきれいな黒だと感じました。

塗ってみると透明感が少しあります。
重たすぎず空気を含んだような描写をしやすいです。

乾燥は結構遅めです。
アイボリー同様、重ね塗りには気を使います。

混色すると存在感が強く出やすい部分もあるので、
少量ずつ使うようにして調整
しています。

マルスブラック

おすすめ度4.0
こんな人に黒でしっかり引き締めたい人
乾燥の速さを重視したい人

この記事で紹介した4種類の黒の中で、
最も「パキッ!」とした黒です。

うさぎ
うさぎ

パキッ・・・?

かなりはっきりとした黒で、
混色よりも単色での使い方に向いている印象です。

乾燥がはやいのも特徴のひとつで、
「サクサク描きすすめたい!」という人には
ぴったりの黒色だと思います。

モンキー
モンキー

おいらにぴったりや!

ただ、混色するときは色が沈みやすく、
にごりやすいという特徴もある
ので、
特に暗い色同士の混色の際には慎重に

管理人
管理人

管理人は
色づかい激しめな絵を好むので
お気に入りの黒です。

ピーチブラック

おすすめ度3.0
こんな人にグレートーンを重視したい人
落ち着いた空気感を目指す人

正直申し上げますと・・・
管理人にとってあまり得意ではない黒です。

「グリザイユにおすすめ!」と聞いて
グリザイユやモノクロ表現で試してみたのですが、
どこか「ぬめっ。」としたような
ひんやりしたような印象になってしまって、
自分の絵にはあまりあわないな・・・と感じました。

管理人
管理人

白と混色した時の
独特なニュアンスが
管理人にはあいませんでした。

ピーチブラックは植物系の炭を原料にした黒で、
青みとスモーキーさをあわせ持つ感じの色味です。

乾燥はやや遅く
マットでソフトな表現に向いた黒色です。

空気感や静けさを表現したい人には
結構あう
と思います。

モンキー
モンキー

管理人の絵は
うるさい系の作風やもんな。

自分の作風との相性によっては
「黒っぽさが足りない」と感じることもあるかもしれません。

やわらかく湿度のある黒を探している場合、
ピーチブラックがおすすめ
です。

用途による使いわけの提案

管理人が4種類の黒い絵具を
実際に使用してみて出た結論をまとめてみます。

黒い絵具の使いわけかた
  • 混色メインなら・・・ アイボリーブラック
  • 塗りつぶし・強い表現なら・・・ マルスブラック
  • 透明感を活かした影や空気感なら・・・ ランプブラック
  • 渋めで落ち着いたトーンが好きなら・・・ ピーチブラック
管理人
管理人

あくまで 提案 なので
参考程度にとどめてください。

モンキー
モンキー

じぶんだけの正解を
みつけていく
のがいいんやな!

まとめ

油絵具の黒色にはそれぞれに個性があり、
何をどのように使うかによって
作品の雰囲気や完成度が変わってきます。

また、混色で黒を作るという考え方も、
色に対する理解を深めるうえでとても有効です。

「黒を使う派」「使わない派」・・・
どちらにも理由と魅力があるので、
まずは試してみることが一番です◎

最初の1本に迷ったら、
最も無難なアイボリーブラックがおすすめですが、
管理人のいちばん好きな黒色は
ランプブラックなので
特徴をまなんでみて最も魅力に感じた黒を選んで良いと思います。

お気に入りの黒色がみつかりますように・・・◎

管理人
管理人

最後までお読みいただき

ありがとうございました!

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