
『おえかき草紙』へようこそ!
管理人の もげら です。
このテーマは全4回でお届けします。
最終回である第4回目では、「絵を販売する時にチェックしておきたい実務ポイント」についてお届けします◎
「絵を売ってみたいけど、何から準備すればいいのかわからない」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
展示やSNSで作品を見てもらえるようになってくると、
「これって販売してもいいのかな?」と考える瞬間が増えてきます。
絵を売る=絵を描くだけじゃ終わらないんです。
額装・梱包・発送・・・と、意外と裏側の準備がたくさんあります。

売るってそんなやることあるん!?
今回の記事では、管理人の実体験をふまえながら、
「これだけは事前に知っておいてほしい!」という絵を販売する前のチェックポイントを3つに絞ってご紹介します。
これから絵の販売を始めたい方、
すでに出品経験があるけど不安が残っている方、
ぜひ参考にしてみてください◎
Q. 額装と梱包費は価格に含める?
作品が完成したら、すぐに販売ができるわけではありません。
特に気をつけたいのが、額装と梱包にかかる費用についてです。
「思ったより利益が出なかった・・・」と感じた場合、ココを見落としていた可能性があります。

絵が売れたのに赤字って
泣ける話やな・・・
額装の費用どうする?問題
まず、額装をする or しない を決める必要があります。
額装に関しては、作品のジャンル/価格帯/販売場所/展示の企画・運営者によってベストな選択が変わってきます。

どんな絵に
額がひつようなの?
額装にかかる費用は、額自体の値段はピンキリですが、数千円は見込んでおくべきです。
キャンバスサイズのFは最も品揃え豊富ですが、P・M・Sは特注になる場合もあり、価格がFと比べて高くなるケースが多いので要注意です。

デザインを自分で決める
オーダーメイド額縁は
価格が更に高くなります。
額装する場合は、価格に額縁代も入れた額装費を含める、もしくは『額装あり・なしの選択式』にすることをおすすめします。
ギャラリー・画商さんが関わる場合の考えかた
展示の企画・運営者がギャラリーや画商さんである場合、絵が売れた時の額装費の取り扱いについては、考えかたは個々に異なります。
中には、展示の際に作品に似合う額縁を貸してくれる所もあります。

ギャラリーや画商さんを介しての
販売に関しては、
額の価格をどう扱っているか
確認しておくと安心です。

例えばどんなんがあるんやろ。
よくある例を挙げてみます。
1.作家が額装費を別に提示し、『作品価格+額装費』で販売
→ 売れた場合、作品価格の所定の割合(例:30%)+額装費全額を作家が受け取ります。
2.作品価格に額装費を含んだ価格設定で販売
→ 売れた場合、百貨店・画商・作家で折半(30%ずつ)します。
3.額装代を含めず通常の号単価による価格で販売
→ 売れた場合、額装費の負担を考慮して、作家取り分が35%になることがあります。

数字ばっかで
ややこしなあ・・・
梱包資材も「原価」のひとつ
意外と見落としがちなのが梱包資材の費用です。
プチプチ、ガムテープ、ダンボール、封筒、緩衝材などがあげられます。
一回一回は小さな出費でも、積み重なると大きなコストになり得ます。

実際どのくらい
かかるんやろ・・・
- 小サイズ作品
→ 100~500円程度 - 中〜大サイズ
→ 500〜1,000円以上かかることも・・・

地味にかかるな・・・
あらかじめ梱包資材費を販売価格に上乗せしておくことで、あとから赤字にならずに済みます。
価格の考えかた|作品価格 = 絵の価値 + 実務コスト
作品の販売価格を自分で決める時に、次のように考えてみてください。
作品価格 = 絵の価値(時間+技術+オリジナリティ)+ 額装費 + 梱包費 + 配送費+ 販売手数料
上記のように 実務コスト をあらかじめ計算に入れておくと、後々に困ったことになりづらいです。
販売経験が少ないうちは、ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単な原価計算表を作ってみると安心感がありますよ◎

さっそく
つくってみようかな。
まとめ|利益を守るための『下準備』
額装と梱包を疎かにすることは、百害あって一利なしといって過言ではありません。
手間もコストもかかりますが、丁寧に扱うことで、商品としての価値があがり、そこにお客様からの信頼がうまれ、満足度もアップします。
また、赤字にならないためには、価格設定にそれらをしっかり含めておくことが大切です。
ギャラリーや販売経路に応じて額装の扱いも変わるため、事前確認をすることも大事なポイントです◎
Q. 配送やトラブル対応は?
作品が売れた・・・!
絵描きにとって、本当に嬉しい瞬間だと思います。

一件落着やな!
ホッと一息ついて先に進んでしまいそうになりますが、ココで終わりではありません。
むしろ「ここからが仕事」とも言える程、大事な作業をこなす必要があるんです。

ギャラリー・画商さんが間に入ってくれている場合、この作業は全てギャラリー・画商さんが対応してくれます。
しかし、自分でお客様へ作品を発送するネットショップなどの場合は、すべて自分で対応する必要があります。
作品を安全・確実に届けるためには、細心の注意を払って、丁寧な仕事を心がける必要があります。

どうすれば
安心・安全・確実に届くんやろ?
ココからは、実際の発送で気をつけたいこと、確実な配送方法の選びかた について、体験談も含めてお話しします。
どの配送サービスを使う?
絵の作品を送る時、多くの作家さんが使っているのは以下の3つについて、簡単にまとめてみます。
1.ゆうパック(日本郵便)
- 対応サイズ:3辺合計170cm以内・重さ25kg以内
- 補償:最大30万円まで(損害賠償制度あり)
- オプション:セキュリティサービスあり(追跡強化・引受/配達記録など)
- 全国一律に近い料金と、郵便局から出せる手軽さが魅力です。
2025年9月16日時点の情報です。
2.ヤマト運輸(宅急便/美術品輸送)
- 対応サイズ:3辺合計200cm以内・重さ30kgまで(宅急便)
- 美術品輸送サービス:専門スタッフによる搬送・梱包・設置も依頼可能
- 額縁の梱包方法などについて公式FAQに明記あり
2025年9月16日時点の情報です。
3.佐川急便(ラージサイズ便)
- ラージサイズ(3辺の合計が160㎝を超える260サイズ以内・50kgまで)や法人対応に強み
- 通常の宅配便よりも大きな作品に対応可能(要見積もり)
2025年9月16日時点の情報です。
送料はどうする?元払いと着払いの違い
元払い 作家が送料を負担 | 購入者にとって価格がわかりやすく、トラブルが起きにくい |
着払い 購入者が送料を負担 | 事前に、かかる送料についてしっかりと説明することが大切 |
最近では、作品価格に別途送料を請求する作家さんも増えた印象です。
ネット販売の場合は特に、「別途送料あり」という文言をわかりやすい場所に記載する必要があります。

みえやすいところに
ハッキリと!だね。
梱包はどうする?破損トラブルを防ぐ工夫
配送でありがちなケースは、「届いたら破損していた」というものです。
額縁作品の梱包について、ヤマト運輸さんの公式FAQにある内容を参考にしてみます。

コーナーパッドは
100均のクッションシートとかで
自作できそうやな!
更に安全を求めるなら、作品の外箱を二重にする『ダブルボックス梱包』が推奨されます。
プチプチも3重くらい巻いておくと、更に安心です◎
万が一のトラブルに備えるには?
配送事故(破損・未着など)が起きた場合、補償を受けるには証拠と条件が必要です。
美術品など高額な荷物には、美術品輸送専門サービス(ヤマト運輸など)の利用も検討することをおすすめします◎
信頼を獲得するための最大のポイントは「事前説明」
価格・送料・発送方法・梱包について、購入者に事前にきちんと説明することで、トラブルの大半は防げます。
特に、着払いにする・簡易梱包になる・発送まで日数がかかるなどのケースは、販売時点で明示しておくのがベストです。

自分が購入者の立場であったら・・・
管理人は常にそのように
意識するようにしています。

まごころみたいなモンて
大事やもんな!
Q. 実務で見落としがちな販売チャネル別のコストと注意点とは?
絵を販売する際、額装・梱包・配送だけでなく、どこで売るかによっても大きくコスト構造が変わります。ここを把握していないと、せっかく売れても「思ったより手元に残らない」ということになりがちです。
ギャラリー/画廊での販売
販売手数料は30〜50%が一般的です。

作家の手元に入るのは
70~50%か・・・
額装費や展示準備費は全て作家側の負担になる場合もあるため、契約内容を事前に確認することが重要です。
売れた場合の支払いタイミングも、ギャラリーによって異なります。

売れた月の月末までに
支払われることもあれば、
2,3か月後という場合もあります。
また、百貨店における展示だと、
百貨店:ギャラリー/画商:作家=30:30:30
・・・というような分配になることが基本のようです。

30%って
3,000円だと1,000円?!

事務作業やってもらえるわけやし
場所代だってあるもんな。
ネットショップ・ハンドメイドマーケット
BASE、minne、Creemaなどでは、販売手数料+決済手数料(合計10〜15%)が引かれます。
送料の設定(送料込み or 着払い)や、梱包資材の負担もすべて自己責任です。
売上の振込は数日〜数週間後になる場合もあるため、その点も確認しておきましょう。
貸しギャラリーや公募型展示会での費用
コレらは「作品が売れなくてもかかる固定費」であるため、要チェックです。
注意!価格と税・帳簿の話も忘れずに
「個人での販売」とはいえ、売上が継続して出てきた場合は、以下の点にも注意が必要です。
消費税の扱い | 免税事業者かどうかで請求書の書きかたが変わります |
所得税 | 売上が一定を超えたら確定申告が必要です |
領収書の発行 | 販売相手が法人・事業者の場合に必要になることもあります |
帳簿・経費の記録 | 梱包資材・額縁・送料などは経費として計上できます |

なんだかむずかしそう!
まとめ|あなたの絵を、最後まで誠実に届けるために
作品を描くことと同じくらい、販売までのプロセスには「信頼」と「誠意」が求められます。
- 価格設定には、見えないコスト(梱包・手数料・配送・展示費)も含めて考えること
- 販売前に「どこで」「どうやって」売るかを具体的に決めること
- 購入者への丁寧で誠実な事前説明と対応を心がけること
絵が売れた瞬間、あなたの時間、想い、技術が、他の誰かの生活に溶け込むことになります。
それは単なる「商品」ではなく、小さな芸術体験を届ける行為なのだと思います。
だからこそ、販売の準備もまた「創作活動の一部」なんです。
丁寧に、慎重に・・・そしてあなたらしく、アートを届けていきましょう◎
最後に|「全4回 油絵作品の値段の付けかた」最終回を迎えて

4回にわたってお届けしてきた「油絵作品の値段の付けかた」シリーズ、いかがでしたか?
- 第1回|価格の決まりかたと基本の考えかた
- 第2回|よくある価格設定の方法
- 第3回|価格に納得する視点と育てかた
- 第4回|販売前にチェックしておきたい実務ポイント
「この値段で売っていいのかな?」という不安が、
「この価格で売りたい、売れるようにしたい!」
・・・という前向きな思いになっていただけたら嬉しいです◎

最後までお読みいただき
ありがとうございました!